江戸友禅師(東京手描友禅)である大槻明彦の手による一点ものの描絵の扇子です。扇面に描かれたのは、杜鵑(ほととぎす)と杜鵑草(ほととぎす)。夏に日本に渡ってくる杜鵑は、そのけたたましい鳴き声に特徴があって、「テッペンカケタカ」と聞こえるとか。杜鵑草のほうは、初夏から秋にかけて山野の傾斜地などで花を咲かせます。その花弁にある斑点が杜鵑のお腹のも模様と似ているのでこの名がつけられたそうです。扇面には夏から秋にかけて小さな花をまばらにつける水引(みすひき)もあしらわれています。裏面にも描絵が施され、使っていて楽しい1本。唐木の骨で、すっきりとした風合いに仕上げました。