おもて面が大根おろし用で、裏面が薬味用の目立てになっています。 銅で造られた卸し金の歴史は古く、江戸時代前期の1712年に刊行された当時の百科事典「和漢三才図絵」に今日とほぼ同型の卸し金の絵が載っています。このように長い歴史を持つ卸し金は硬質の純銅版を叩き締めて、さらに硬化させてものに純錫メッキを施して、熟練した職人が一目づつ手で目切りをし、刃を起こしたものですから、陶器やプラスティック製品にはない鋭い切れ味を持っています。陶器やプラスティック・アルミのおろし金を使うと、切れ味の鈍さに加え、押しつぶされたような形になって、繊維と水分が分離してしまいます。純銅のおろし金は、鋭い刃と不規則な刃並びで、切れ味が鋭く繊維と水分を分離させません。おろすたびに大根やワサビの新しい断面が次々と刃にかかり、美味しい「おろし」ができます。